オニグルミを製材してみた

木の話|2025.07.02

先日、山で伐採したオニグルミ(鬼胡桃)を製材してみました。

オニグルミ(Juglans mandshurica var. sachalinensis)は日本に自生するクルミの一種で、実は食用になり、材は美しく加工性も高いため、木工にも人気のある素材です。

今回は、このオニグルミの丸太を実際に挽いてみた感触や、木材としての特徴について記録しておこうと思います。


オニグルミとは?

オニグルミは日本全国の山地に広く自生する落葉広葉樹で、山野に行けば比較的よく見かける木のひとつです。

「クルミ」というと食べる実をイメージする方が多いですが、実際は材としても非常に魅力があり、北米産のブラックウォルナットにも似た美しさを持っています。

  • 分類:クルミ科(クルミ属)
  • 比重:およそ0.55~0.65
  • 木理:やや不規則で、時に縮杢(しぢみもく)や玉杢が出ることもある
  • 色味:心材は薄い褐色、辺材は灰白色〜黄白色
  • 用途:器、家具、小物、木彫、ギターのネック材など

原木の状態

今回使用したのは、直径25cmほどのオニグルミの丸太で、伐採後はすぐに運び出して、数日乾燥させた状態です。

葉っぱ↓

📸 実の写真(青い果実/2025年6月撮影)

📸 丸太の写真(切り株/伐採直後)

樹皮は縦に裂けるように剥がれ、手触りはざらっとしています。

木口を見ると、導管が比較的はっきりと見える散孔材で、心材と辺材の色の違いがくっきりしています。


製材開始

今回は**バンドソー(帯鋸)**を使って、30mm厚の板材に製材しました。

刃の通りはやや重めでしたが、しっかりと乾いていない状態のわりには素直に切れてくれました。

切り出した木口には、淡い赤褐色の美しい木目が現れ、クルミ特有の柔らかな印象が感じられます。

特に柾目の部分は光の当たり方によって落ち着いた光沢を見せてくれました。

ただし、乾燥が進むと割れやすい性質があるため、木口シーラーの塗布は必須です。

しっかり対策をしておかないと、数日で亀裂が入る可能性があります。


乾燥と今後の活用

製材した板材は、現在桟積みして陰干し中です。

オニグルミは、比較的乾燥は早めですが、内部応力による反りやねじれが出やすい傾向があります。

今後は1〜2ヶ月かけて様子を見ながら乾燥を進めていく予定です。

実際に触れてみた感触から、以下のような作品に向いていると感じました。

  • 木の器、スプーン、フォークなどのカトラリー類
  • 小箱や引き出しなどの細工物・家具の一部
  • そして、何よりも「くだらない道具」としての遊びのある作品づくり

木目が優しく、手に馴染むような仕上がりが期待できるので、今後の制作がとても楽しみです。


まとめ

今回、オニグルミの製材を試してみて感じた特徴をまとめると:

  1. やや柔らかめで加工性が高い
  2. 木目に温かみがあり、仕上げると光沢が出る
  3. 乾燥中の割れや狂いに注意が必要
  4. 家具〜小物、工芸まで幅広い用途に向く

オニグルミは日本の里山に身近にある木ですが、その魅力は思った以上に深いものでした。

「ただの木」ではなく、その土地で育ち、命を持って生きてきた「一本の木」として、今後も丁寧に向き合っていきたいと思います。

次回は、このオニグルミを使って実際に何を作ったのか、その作品づくりの工程をお届けします!

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