2025.10.30
今回は、庭木としてもおなじみの「柿の木(カキノキ)」を加工してみました。
秋になると橙色の実をつける、日本人にとってとても身近な木です。
📷(柿の木の写真)


🍃 柿の木の基本情報
- 科名:カキノキ科(Ebenaceae)
- 属名:カキノキ属(Diospyros)
- 学名:Diospyros kaki Thunb.
- 分布:本州・四国・九州(庭木・果樹として全国に栽培)
- 樹形:落葉高木(高さ10〜15mほど)
- 葉:広卵形で、厚みがあり表面はつややか。秋には黄色や赤に色づく。
- 花期:5〜6月
- 果実:10〜11月に橙色に熟す(渋柿・甘柿など品種多様

🌲 材の特徴
柿の木の材は、心材が淡い茶褐色から黒褐色まで幅があり、木目が緻密で美しいのが特徴です。
特に黒色の模様が入った部分は「黒柿(くろがき)」と呼ばれ、古来より高級銘木として珍重されてきました。
しかし、黒い模様が入らない普通の柿の木も、手触りが滑らかで落ち着いた色味の良材です。
硬さも適度にあり、加工するときにはずっしりとした重みと粘りを感じます。
- 比重:0.6前後
- 肌目:緻密でつるりとした手触り
- 用途:工芸品、器具材、印材、床柱、指物、刀の鞘など
📷(木材写真)


🪵 加工してみた
今回使用したのは、庭木として育っていた柿の木を伐採して製材したもの。
切った直後はやや黄白色に近い色合いでしたが、乾燥が進むにつれて温かみのある淡茶色に落ち着いてきました。
削ってみると、手応えがしっかりしていて、サクラやケヤキよりもやや粘りを感じます。
刃物の切れ味が試される木でもありますが、仕上げた面は驚くほどすべすべになります。
📷(加工中の写真)

オイルを塗るとしっとりと深い色味になり、時間の経過とともにほんのりと赤みを帯びていきます。
派手な木目が出なくても、その素朴な風合いがとても心地よい素材です。
🤖 作品例
今回は、柿の木からシンプルな四角いブロックを制作しました。
派手さはないものの、ほんのり黄味を帯びた色合いと、手触りの良さが際立ちます。
小口面は黒い模様が出ました。ロボットの表情のところです。

📷(作品写真)
無塗装ではやさしい印象に、
オイル仕上げでは少し渋みが増して、落ち着いた大人の雰囲気に変化します。
🌿 おわりに
柿の木は「黒柿」ばかりが注目されがちですが、
黒い模様がなくても十分に魅力的で味わい深い木です。

なにも“名木”でなくてもいいんです。
木目が地味でも、そこに静かな美しさがある。
そんな木に、ゆっくり触れてみる時間もいいものです。

コメント