常緑の葉を一年中まとい、どんぐりの木としても馴染み深いシラカシを加工してみました。
立派な大木で、伐採した木口を見ると、長い年月を生きてきた年輪がぎっしりと詰まっています。
材はとても硬く、チェーンソーでの切削でもはっきりとした抵抗を感じる木でした。
📷(シラカシの立木写真)

📷(伐採後の木口写真)


🍃 シラカシの基本情報
- 科名:ブナ科(Fagaceae)
- 属名:コナラ属(Quercus)
- 和名:シラカシ(白樫)
- 学名:Quercus myrsinifolia Blume
- 分布:本州〜九州の暖地、特に里山・社寺林に多い
- 樹形:常緑高木(高さ15〜20mほど)
- 材質:散孔材、非常に重硬で耐久性が高い
- 比重:約 0.80〜0.90(とても重い広葉樹)
🌲 材の特徴
シラカシの材は、重くて硬く、強度・耐摩耗性・粘りに優れています。
昔から 農工具の柄、玄能(げんのう/金槌)、曲げ物、杖 など、長く使われる道具に用いられてきました。
木目は詰んで密で、心材は淡褐色〜黄褐色、辺材はやや白っぽく、仕上げると落ち着いた上品な光沢が生まれます。
乾燥には時間がかかり、木口割れが生じやすいため、端面のワックス処理やゆっくりとした乾燥が向いています。
📷(木口アップ写真)

🪵 加工してみました
今回は伐採した丸太から、輪切りと板材を製材してみました。

✍ 加工の感触
- チェーンソーでの切断でも刃を押し返すような重みがある
- 鉋(かんな)や刃物は切れ味が落ちやすく、こまめな研ぎが必要
- ドリルで穴加工しても強い抵抗がある
- 磨いていくとしっとりとした艶が出る
仕上がった木肌は、明るい黄褐色〜淡い褐色。
硬さの中にしなやかさがあり、触るとどこか温かさも感じる材です。
📷(製材した板・輪切り写真)

📷(穴あけ加工したレンコン状の試作パーツ)

🌰 シラカシのどんぐり
今回の枝についていたどんぐりは、シラカシ特有の形をしていました。
- 殻斗(帽子)は浅く、すり鉢状
- 実は細長い卵形
- 葉は細長く全縁で、裏面はやや淡い色
常緑カシ類の中でも、光沢のある葉が美しく、庭木としても人気のある種です。
📷(葉とどんぐり写真)

🔧 今後作りたいもの
シラカシは非常に強い材のため、次のような作品に向いています。
- 斧やハンマーなど工具の柄
- キャンプ用ククサ(ただし刃の研ぎ頻度は高め)
- カトラリー
- 山小屋の建具材
- どんぐりをモチーフにしたオブジェ
硬くて扱いが難しい分、仕上がった時の存在感は格別です。

🌿 おわりに
シラカシは、静かで控えめな印象の木ですが、強さと粘りを秘めた、とても頼れる材料です。
伐採された木が、また別の姿で誰かの暮らしの中に生き続けると思うと、胸が熱くなります。
これからこのシラカシを、斧の柄や道具、オブジェなどに加工していく予定です。
また作品ができたら紹介しますので、楽しみにしていてください。
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