キノコの生えた木を製材してみた

木の話

同じ梨の木なのに、こんなに違う?木の生命力と材の魅力

先日、立ち枯れしていた梨の木と元気に生きていた梨の木を製材してみました。同じ梨の木であっても、その成長環境や状態が違うだけで、こんなにも材の色や質感が変わるとは驚きです。

左側の写真に写っているのが立ち枯れしていた木、右側が元気に生きていた木です。立ち枯れしていた木の材は、色合いが色々で独特の模様が現れています。一方、生きていた木の材は明るく、すっきりとした色合いが特徴的です。

立ち枯れした木にはきのこが生えていました。このきのこが生えている木は面白いの模様が出やすいです。スポルテッド木材と言います。

スポルテッド(Spalted)木材とは?

スポルテッド木材とは、木材内部に現れる黒い線や模様のことを指します。この模様は、木がカビや菌(主に白色腐朽菌や黒カビ)に感染した際に作られる自然のアートです。特に倒木や立ち枯れした木でよく見られます。

スポルテッド模様ができる仕組み

木材内部に菌が侵入すると、菌が成長しながら木材の養分を分解します。この過程で、菌が「菌糸」という細い糸状の構造を作り出し、その境界線として黒や茶色の模様が形成されます。この模様は、菌同士が領域を守るために作った「防御壁」とも考えられています。

スポルテッドの特徴と魅力

独特な模様:黒い線や複雑な模様が特徴で、木材を芸術的な素材に変える。

カビによる自然のデザイン:健康な木には見られない模様が、製品に個性を加える。

注意点

スポルテッド木材はカビや菌の影響を受けているため、適切に乾燥させないと木材が劣化してしまう可能性があります。ただし、適切に加工されると非常に美しい木材として利用できます。

立ち枯れした梨の木に見られた黒い模様も、このスポルテッド現象の一種だと考えられます。この現象を知ると、木材に対する見方がまた少し変わりそうですね!

製材してみて感じたこと

立ち枯れした木は、木が生きていた頃に比べて材の硬さや香りも変わっていました。元気に生きていた木は、切るたびに新鮮な木の香りが漂い、命の力強さを感じます。一方で、立ち枯れした木の材は、製材しやすいです。少しやわかい感じがあります。独特の風合いがあり、何とも言えない「時間の積み重ね」を感じさせます。

左  きのこの生えた梨の木                       右  元気な梨の木

動画について

この製材の様子を動画に収め、YouTubeにアップしました。「きのこが生えた木を製材してみた」というテーマで、立ち枯れした木の独特な魅力を伝えています。もし興味があればぜひご覧ください!

こちらは前に出した元気な梨の木の動画です↓

最後に

同じ樹種でも、その生き方や環境が違うと、こうも材の特徴が変わるものなんですね。この違いを活かして、それぞれの木材でユニークな作品を作れたら面白そうです。今後も、こんな「木の個性」をテーマにした取り組みを続けていきたいと思います。

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