🌳 屋敷にあったイチョウの木を伐採して製材してみた

木の話

~乳の部分から現れた、美しすぎる杢目~

先日、とある屋敷に生えていた樹齢およそ100年のイチョウの木を伐採・製材する機会がありました。

この木は、長い年月をかけて手入れされてきたもので、幹の太さや枝ぶりからもその歴史が感じられる立派な一本でした。

今回は、特に「乳(ちち)」と呼ばれる部分を製材してみたところ、**驚くほど美しい杢目(もくめ)**が現れたので、その様子を写真とともにご紹介します。


📍 この木が100年の風格をまとったイチョウ

住宅地の一角に、まるでシンボルのようにそびえ立っていたイチョウの木。

枝は丁寧に剪定されており、まさに「屋敷の守り木」と呼ぶにふさわしい存在感でした。

幹回りは約90cm。しっかりと根を張り、長年この地を見守ってきた貫禄を感じます。


🪓 伐採開始──幹の迫力と乳の存在感

幹には深く割れた樹皮や、**乳(ちち)と呼ばれる垂れ下がった瘤(こぶ)**がいくつもありました。

この乳の部分は、イチョウの中でも特に個性的で、中に面白い杢目が眠っている可能性が高いとされています。

今回はこの乳の部位を中心に、製材してみることにしました。


🪵 切り株と年輪の美しさ

伐倒後に現れた切り口には、詰まった年輪とピンクがかった心材。

腐れもなく、芯までしっかりと健康な状態でした。

一見地味に見えるイチョウですが、材としての魅力がしっかり詰まっていました。


🌟 乳の部分から現れた、驚くべき杢目

製材した乳の部分からは、**まるで絹のような光沢を持つ、波打つ杢目(瘤杢)**が現れました。

これには思わず「おおっ…」と声が漏れるほど。

まさに、100年の時をかけて自然が作り出した芸術。

木工をする者として、これほど嬉しい瞬間はありません。


🌰 ぎんなんも落ちていました

根元にはぎんなんがいくつか落ちており、この木が雌株であったことがわかりました。

秋にはきっと、黄色く染まりながら実をつけていたのでしょう。

地域の方々にも、季節を告げる木として親しまれていたはずです。


🍃 イチョウの葉はやっぱり美しい

扇形の葉は、どこか懐かしく、日本的な優しさを感じさせてくれます。

落葉樹でありながら、どっしりとした存在感を持ち、木としても葉としても魅力的な樹種だと改めて感じました。


📝 おわりに

イチョウというと街路樹のイメージが強いですが、

今回のように屋敷で長年育てられたイチョウには、その家の歴史や想いが宿っているように思います。

特に「乳」と呼ばれる部位から現れた唯一無二の杢目は、

100年という時間が作り出した、まさに自然の宝石。

これからこの材を使って、

一輪挿しやアクセサリー台、木の小物など、作品として命を吹き込んでいく予定です。


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