山に立っている姿もおもしろいし、葉や実も特徴的です。さらに、材として見ても、普通の板材から瘤(こぶ)の入った複雑な材まで、表情がまったく違います。
自分はトチノキでいろいろなものを作ってきましたが、触れば触るほど、「トチノキって一言では言い切れない木だな」と感じます。
今回は、立木、葉、実、そして瘤材や加工した材まで含めて、実際に見て・削って・作って感じたことをまとめます。
山に立っているトチノキ
まずは、山に立っているトチノキです。
幹は比較的まっすぐ立ち、葉が大きく広がるので、実際に林の中で見ると存在感があります。一本の木として見ると、材になった後の印象とはまた違って見えます。
【写真:山に立つトチノキ全体】

立木の状態を見ておくと、後で板材や瘤材を見たときに、「この木のどんな部分から、あの模様が出てきたんだろう」と想像できるのが面白いところです。
トチノキの葉はとても分かりやすい
トチノキの葉は、**掌状複葉(しょうじょうふくよう)**で、1枚の葉が手のひらを広げたような形に見えます。
【写真:トチノキの葉】

こういう特徴があるので、葉だけ見てもかなり印象に残ります。木を覚えるときも、「トチノキはあの大きな手のひらみたいな葉」と思うと分かりやすいです。
以前の写真では、幹の周りに別の植物が絡んでいて少し分かりにくい部分もありましたが、今回の葉の写真があることで、トチノキらしさがかなり伝わりやすくなったと思います。
樹皮も独特で、立木観察の手がかりになる
樹皮を見ると、細かい凹凸や割れ目があり、葉とあわせて見ることで同定の手がかりになります。
【写真:樹皮】

木の図鑑としては、こういう「葉だけ」「幹だけ」ではなく、葉と樹皮を一緒に見られる写真があるとすごく分かりやすいです。実際に現地で木を見るときも、葉と幹をセットで確認することが多いので、こういう写真はかなり大事だと思っています。
実もかなり面白い
トチノキの実は丸くて大きく、表面にも特徴があります。
【写真:トチノキの実】

トチノキという名前は知っていても、実際の実をじっくり見たことがある人は意外と少ないかもしれません。こうやって写真で残しておくと、材だけではなく「木全体」としてのトチノキが見えてきます。
自分の木のずかんでも、こういう葉・樹皮・実までそろっている樹種は、かなり内容が厚くなっていくと思います。
普通の板材だけでは分からない木
ここからは材としてのトチノキです。
トチノキの材は、やわらかい色合いで、白っぽい部分から少し赤みや黄みを感じる部分まであり、全体としてやさしい印象があります。
【写真:板材の写真】

まっすぐな部分を板にしたものだけを見ると、比較的おとなしい木に見えるかもしれません。でも、実際にはそれだけでは終わりません。
トチノキの面白さは、部位によって木目や表情が大きく変わることにあると思っています。

瘤(こぶ)の部分はまったく別の表情になる
自分が特に面白いと思っているのが、トチノキの瘤材です。

【写真:トチノキの瘤材 全体】
【写真:別角度の瘤材】
【写真:瘤材を切った断面】
【写真:複数の材を並べた写真】
外側から見ても、普通の丸太とは違って膨らみがあり、形も不規則です。そして、これを切ってみると、中には複雑に入り組んだ木目や、濃い色の部分、割れ、節のまわりの変化など、普通の板材とはまったく違う表情が出てきます。
きれいに整った木目というよりは、
「次にどんな模様が出てくるか分からない面白さ」
がある木です。
この感じは、写真で見ても面白いですが、実際に削っていくとさらによく分かります。
削ると、さらに模様が出てくる
瘤の部分は木目の方向も一定ではなく、削る面や角度が変わるだけで見え方がかなり変わります。
波のような模様が出たり、渦を巻いたように見えたり、部分によっては急に表情が変わったりする。普通の板を削っている感覚とはかなり違います。
自分にとっては、形を整える作業というより、
「木の中に何が入っているのか探しながら削る作業」
に近いです。
こういう感覚は、やっぱり実際に木を切って、削ってみないと分からないところだと思います。

小さな端材でも捨てるのがもったいない
大きな材を切ると、小さな端材も出ます。でも、トチノキはそういう小さな部分も面白いです。
【写真:小さな端材・作品の元材】
特に杢や瘤の表情が入っている部分は、小さくなっても十分魅力があります。家具材としては使いにくいサイズでも、小物や作品の材料として見ると、逆に面白さが際立つことがあります。
自分はこういう端材もなるべく残しておいて、作品づくりに使っています。

実際に小さな作品にも使える
トチノキの面白いところは、大きな材だけではなく、小さな作品にもその個性を生かせることです。
【写真:小さな木の作品】
小さなブロック状の作品でも、木目や色の変化がちゃんと出ます。同じ形にしても、材の取り方や木目の出方で印象はかなり変わります。
こういうところが、トチノキを使っていて飽きない理由のひとつです。
トチノキは「一枚の写真」では足りない
木の図鑑では、「トチノキの材はこんな感じです」と板材の写真が1枚載っていることがあります。それももちろん大事です。
でも、自分で実際に見て、触って、削ってきた感覚では、トチノキはそんなに単純ではありません。
同じトチノキでも、
- 山に立っている姿
- 大きな掌状の葉
- 丸い実
- おとなしい板材
- 複雑な瘤材
- 小さな端材
- 作品になった後の表情
まで、全部かなり違います。
だからこそ、この木のずかんでは、代表写真を1枚載せて終わりではなく、自分が実際に見つけた「いろんなトチノキ」を残していきたいと思っています。
これからもトチノキの記録を増やしていきたい
自分はこれまでにもトチノキでいろいろ作ってきましたし、これからもたぶん作ると思います。
新しく面白い材が手に入ったり、また違う杢が出たり、作品が増えたりしたら、このページにも少しずつ追加していきたいです。
木は一本一本違います。さらに、同じ一本の中でも、場所によって全然違います。
トチノキは、そのことをすごく実感させてくれる木です。
木を見る。葉を見る。実を見る。切る。削る。作る。
その全部を通して分かるトチノキの面白さを、これからも記録していきます。


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