2025.10.27
今回は、公園などでよく見かける常緑樹「クロガネモチ」を加工してみました。
艶のある濃い緑の葉と、秋から冬にかけて枝先を彩る赤い実が特徴の木です。

⸻

🍃 クロガネモチの基本情報
• 科名:モチノキ科(Aquifoliaceae)
• 属名:モチノキ属(Ilex)
• 学名:Ilex rotunda Thunb.
• 分布:本州(暖地)・四国・九州・沖縄・台湾・中国南部
• 樹形:常緑高木(高さ15m前後になる)
• 葉:互生。楕円形で光沢があり、縁は滑らか。
• 花期:5〜6月(雌雄異株)
• 果実:10〜12月にかけて赤く熟す球形の果実を多数つける。
⸻
🌲 材の特徴

クロガネモチの木材は白〜淡黄褐色で、心材と辺材の差が少なく、緻密で滑らかな木肌をしています。
木理はやや入り組みますが、細工性は良く、光沢が美しいのが特徴です。
• 比重:0.7前後(やや重硬)
• 肌目:緻密
• 用途:器具材、印材、彫刻材、床柱、こけしなど
木の繊維が細かいため、削るときはしっかりとした抵抗感がありますが、仕上げた表面はつるりと光沢が出ます。

⸻
🪵 加工してみた

今回使用したのは、街路樹として伐採されたクロガネモチの一部。
製材してみると、色は淡く、乾燥後にはほんのりと黄味を帯びた温かみのある色合いになりました。
削ってみるとやや硬く、サクラよりも密度を感じます。
仕上げ面は滑らかで、塗装をするとしっとりと深い色に変化。
下の写真のように、無塗装では明るくやさしい印象、
オイル仕上げでは黄金色がかかって表情がぐっと引き締まります。
📷(加工前・加工後の写真)

⸻

🤖 作品例
今回の加工材からは、四角いブロック型の「くだらないロボ」を制作しました。
素材そのものの色味を生かしつつ、目と口のパーツを別材で埋め込んでいます。
📷(作品写真)
無塗装だとやさしい印象に、
塗装後は木目が浮き立ち、まるで生き物のような存在感に変わります。

⸻
🌿 おわりに
クロガネモチは、公園や庭木として身近な樹木ですが、
実際に加工してみると、想像以上に緻密で美しい木肌を持つ素材でした。
「ただの街路樹」として見過ごされがちな木にも、
こうして触れてみると、それぞれに個性と魅力があることを改めて感じます。

コメント